このブログは弊社JRSのコンサルティング実例です
本件はJRSの親しい弁護士経由のご相談で、対象地は東京23区の某区内でした。
実際のご相談はもっと複雑でしたが、わかりやすくデフォルメしてご説明します。
ご相談いただいた土地は、図1のような土地でした。
「路地状部分」が38mと非常に長く、その先に100坪の宅地があります。
全体が142坪ですから、全体の30%が家を建てられない路地状の土地です。
ご相談内容は、かなり端折りますが下記の通り
①対象地は兄弟が親から相続を受けた土地で、いつか売却して兄弟で配分することを予定
②隣地(B)が売りに出されそうだが、隣地(B)の総額は高く、購入する資金はない
③将来の売却に備えて何かやっておくべきことはあるか?
最終的には、図2のように、路地状部分が4.0m以上になるよう、
50cm分(黄色部分)だけを隣地から購入させてもらいました。
※ここで東京都建築安全条例について少し説明 (注:各行政により規制内容は異なります)
L(路地状部分の長さ)が20m以上の土地の場合
W(路地状部分の幅員)が3.6m ⇒ 延床200㎡超の建物は建築できない (耐火・準耐火建築物ならOK)
W(路地状部分の幅員)が4.1m ⇒ 延床200㎡超の建物を建築できる
対象地エリアは決して地価が安い場所ではありません。
「路地状部分を含めた142坪の土地を好んで購入される方ってどんな人だろう?」
そんなことを思った時、過去の事例を思い出しました。
対象地の近隣区ですが、トップアイドル歌手が購入した土地が正にこのような土地でした。
つまり、一般車両や人が往来する道路からは、「長い路地状部分」により宅地が奥に引っ込んでいて、
家そのものが人目に触れない、そんな静かな土地を求めて購入されたという事例がありました。
ただ、そんな人目に触れない路地状部分を持つ宅地が高額となる場合・・
恐らく「延床200㎡以上の広い家が建つ敷地」でなければ購入していただけないだろう
そして、「大きな車を利用されるとなれば、路地状部分の幅員はもっと広くないと・・」
そんなことを考え、路地状部分の幅員を広げる方向へ思考を進めました。
また、個人住宅だけではなく、共同住宅風「長屋」が建てられないだろうか?と考えた場合、
「玄関から道路までの通路の長さが35m超の場合」(本対象地は路地状部分だけで38m)、
「長屋」を建てるためには「通路幅を4m以上確保すること」が必要になります。
隣地から50cm幅の土地購入により、路地状部分の幅員が4.1mになったので、
延床200㎡以上の個人用住宅を建てたい買主や、
共同住宅風「長屋」を建てて収益不動産にしたいと考える買主など、
幅広い買主需要に対応できる土地になりました。
(注意事項)
上記は「東京都建築安全条例 第3条」に基づいた内容ですが、同条には「ただし、建築物の配置、用途及び構造、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は、この限りでない。」とありますので「絶対基準」ではありません。