被後見人の住所異動届は少し大変です
一般的に成年後見人は被後見人の居住地エリアで選任されていると思います。
被後見人がA県X市に居住している場合、後見人もA県X市に居住していることが多いと思います。
後見人が選任されたのち、何らかの理由で被後見人が転居する場合があります。
例えば、いよいよ被後見人の認知度が悪化し、被後見人の子供が住むB県Y市の老人ホームに転居するような場合もあると思います。
そのような場合、被後見人の新たな居住地であるB県Y市役所へ転入届を出すことになります。
そこで、被後見人の子供がY市役所へ出向き、本人の代理として転入届を出せば良いのか・・?
という問題ですが・・
これは、基本、後見人がY市役所へ出向く必要があります。
しかし、A県X市とB県Y市との距離は遠く、後見人に大きな負担がかかります。
マンパワーという負担だけではなく、最終的には交通費や出張日当など、被後見人本人にも金銭的な負担がかかります。
後見人から被後見人の子を代理人とする「委任状」
ではどうするか・・ですが、後見人からY市役所へ出向く子に対して、「委任状」を作成します。
委任状は、例えば、下記のように作成します。
委任状
受任者 (役所に出向く子(代理人)の氏名、住所を記載)
上記の者を代理人と定め下記権限を委任する。
1.成年被後見人〇〇〇〇(被後見人の氏名)の住所移転に伴う転入の届出に関する一切の件
旧住所 (旧住所を記載)
新住所 (新住所を記載)
2.転入後の住民票を〇通、取得する件
住民票の使用目的 (後見登録記載事項の住所変更、各金融機関への住所変更など理由を記載)
3.上記1に伴い後期高齢者医療関連手続きの届出等に関する一切の件
4.上記1に伴い介護保険受給資格関連手続きの届出等に関する一切の件
5.上記1に伴いマイナンバーカード等の住所記載変更届出等に関する一切の件
令和〇年〇月〇日
委任者 〇〇〇〇(被後見人の氏名)成年後見人
住所 (後見人の住所)
氏名 (後見人の氏名) 印
委任状と併せて必要なもの
子(被後見人の代理人)がY市役所に出向くとき、委任状と併せて下記書類等が必要です。
・転出証明書 (予め後見人がA県X市役所で取得したもの)
・被保険者の登記事項証明書 (後見人証明書 発行3か月以内)
・後見人の本人確認書写し (後見人の運転免許証など顔写真付本人証明の写し)
・被後見人の介護保険被保険者証(原本が好ましい)
・被後見人の後期高齢者医療被保険者証(原本が好ましい)
・被後見人の後期高齢者医療限度額適用認定証(原本が好ましい)
・被後見人の介護保険負担割合証(原本が好ましい)
・被後見人のマイナンバーカード
・子(役所に行く被後見人の代理人)の本人確認書写し (後見人の運転免許証など顔写真付本人証明の写し)
以上で大丈夫だと思いますが、必ず転入届をする役所に予めご確認ください。
保険料の口座振替手続きも少し面倒です
これまでA県X市への保険料を口座振替で支払ってきた場合、
新たにB県Y市への保険料を口座振替で支払うことになると思います。
その場合、転入した役所から下記書類を渡されます
・Y市介護保険料口座振替依頼書
・Y市後期高齢者医療保険料口座振替依頼書
ここで面倒なのは、被後見人の財産を後見人が管理していますので、口座振替依頼書に捺印する金融機関口座の印鑑が、後見人が立つ前の被後見人の印鑑ではなく、後見人の印鑑に変更されていることです。
各口座振替依頼書には、変更された口座登録印、つまり後見人の印で捺印しなければなりません。
※後見人が立ちますと、これまで被後見人の氏名が口座名義人となっていたものが、「〇〇〇〇(被後見人の氏名)成年後見人△△△△(後見人の氏名)」と変更され、口座登録印も後見人の印鑑に変更されます。
従いまして、各種の口座振替依頼書は、後見人が記入し、後見人が捺印する必要があります。
転入先で渡された口座振替依頼書は、郵送等で後見人の手元に届ける必要があります。
転入届は引っ越しから「14日以内」に注意!
転入届は「引っ越してから14日以内」にしなければいけません。
ここで、例えば「3月1日に引っ越したので3月15日ならギリ間に合う!」と思ったりしますが、
役所では、引っ越した日を「一日」と数えるようです。
従いまして、引っ越し日が3月1日だった場合、転入届の期限は3月14日です!
14日を過ぎると、下手すると「5万円以下の罰金」なんてこともあるかもしれません💦
年末年始など役所が長期休暇に入るような時期は特に注意したいものです。
くれぐれもお早目の届出を心掛けた方が良いと思います。