被後見人の不動産売却には家裁の許可が必要
「成年後見制度は何のためにあるのか?」と問われれば、
「それは被後見人の資産を守るため」というのが大筋の答えになると思います。
従いまして、被後見人の財産の1つである不動産を売却する場合、
『家庭裁判所の許可』が必要になります。
本ブログにアップした写真は、静岡家庭裁判所が発行した書類ですが、
大きな字で『審判』と記載されているので「何それ?」と思いますが、
これが実際の「売却許可」です。
自宅の売却は家裁のチェックが厳しい?
家庭裁判所は被後見人の財産を守るという立場にありますが、重ねて、
「被後見人が将来、自宅に戻れる状態になったとき、自宅が無いと困るだろう」
ということも心配します。
従いまして、被後見人の健康状態や判断能力もさることながら、売却時に
どこに住んでいるか?ということも確認します。
例えば「要介護5」で、自宅からかなり離れた親族の住む他県の老人施設などに
入所しているなど、「もう自宅に戻れる可能性はないだろう」という状況ですと
売却許可が出される可能性が高いようです。
家裁の許可を条件とした売買契約締結
以前は売買契約を締結する前に「予定する売買契約書」を添付して家裁に申請することで
良かったようですが、冷やかしが多かったせいか?最近では「正式に締結した売買契約書」
を添付して申請する必要があるようです。
少なくとも令和5年当時の静岡家庭裁判所ではそのような指示でした。
従いまして、「本契約は家庭裁判所からの売却許可を条件とする」という特約を設置して
の売買契約となります。
売買契約書の売主欄は成年後見人が記入・捺印する
被後見人本人は不動産売却の契約行為ができませんので、売買契約は成年後見人が
売主である被後見人に代わって締結します。
通常、売主は運転免許証などの写真付本人証明をもって売主であることを買主に示しますが、
成年後見人は、自身の写真付本人証明と併せて、自身が正式な成年後見人である登記事項
証明書を提示することで、売主の代理人としての権原を買主へ示します。